「春日権現験記絵(春日本) 巻一」(部分) 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社 通期展示

今なら見られる。行くしかない!
今なら見られる。行くしかない!

春日大社(かすがたいしゃ)は、奈良時代の初めに国家の平安と国民の繁栄を祈願するため創建されました。春日大社第一殿の祭神である武甕槌命(たけみかづちのみこと)常陸国(ひたちのくに)(現在の茨城県)から鹿に乗り、春日大社をいだく御蓋山(みかさやま)山頂に降臨したと伝えられ、その後、経津主命(ふつぬしのみこと)天児屋根命(あめのこやねのみこと)比売神(ひめがみ)を迎え、神護景雲(じんごけいうん)2年(768)に称徳天皇(しょうとくてんのう)の勅命により現在の地に四棟の本殿を造営したのが始まりです。以後現在に至るまで、多くの人々の祈りが春日の神々に捧げられてきました。


春日大社では「式年造替(しきねんぞうたい)」と呼ばれる社殿の建て替えや修繕が約20年に一度行われ、平成28年(2016)には60回目を迎えます。本展は、この大きな節目に、春日大社に伝来し、社外ではめったに拝観することのかなわない貴重な古神宝の数々とともに、春日の神々への祈りが込められた選りすぐりの名品を、かつてない規模で展観するものです。「平安の正倉院」と呼ばれる春日大社に伝来した王朝美の精華を伝える古神宝類。祈りや願いを込め奉納された甲冑や刀剣。美しい自然に囲まれた聖地・春日野や神々の姿を表わした絵画や彫刻。「千年」、すなわち「とこしえ」の祈りが今なお捧げられる春日大社の「至宝」が一堂に会する、大変貴重な機会となることでしょう。

鹿座仏舎利

鹿座仏舎利(しかざぶっしゃり)

江戸時代・17世紀 春日大社 通期展示

本展の見どころ

一

平安の正倉院

王朝の雅と美を伝える至宝の数々が一堂に

春日大社は「平安の正倉院」と呼ばれ、平安貴族の美意識を反映した国宝の古神宝が多く伝わります。本展ではこれら平安工芸の最高峰といえる作品を一堂にご覧いただけます。

二

祈願の造形

日本を代表する国宝の武具が揃い踏み

春日大社には祈りや願いを込め、歴史上の偉人たちから多くの甲冑や刀剣が奉納されました。これら日本を代表する国宝の甲冑や刀剣類は迫力満点です。

三

神鹿(しんろく)の美術

神々しくも愛らしい鹿の姿が会場の随所に

奈良と言えば、鹿。春日大社と鹿は切っても切れない関係にあります。信仰の対象でもあり、多くの造形に表わされた神鹿の姿を、展覧会会場で探してください。

展示構成

第1章 神鹿(しんろく)の杜(もり)

春日大社の草創は、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が鹿に乗り、常陸国鹿島(ひたちのくにかしま)から春日の地に降り立ったことに始まります。本章では、春日大社の創祀(そうし)を物語る歴史資料や絵画作品、そして神々しくも親しみにあふれる「神鹿」に関わる美術を展示します。

鹿島立神影図

鹿島立神影図(かしまだちしんえいず)

南北朝~室町時代・14~15世紀 春日大社 通期展示

武甕槌命(たけみかづちのみこと)が鹿に乗り、春日の地に降臨した様子を描く。春日大社の草創を物語る作例で、後小松天皇(ごこまつてんのう)奉納と伝える。


鹿図屏風

鹿図屏風(しかずびょうぶ)

江戸時代・17世紀 春日大社 通期展示

輝かしい金地に様々な姿態をみせる牡鹿、牝鹿の群れを描く。なかにはかわいい子鹿の姿も見えます。見つけられますか?


第2章 平安の正倉院

神々の調度品として奉納された古神宝。春日大社には平安時代に奉納された本宮御料(ほんぐうごりょう)若宮御料(わかみやごりょう)が伝わり、「平安の正倉院」とも呼ばれています。本章では、王朝時代の雅と美を今に伝える国宝の品々をご紹介します。

国宝 蒔絵箏(本宮御料のうち)

国宝

蒔絵箏(まきえのこと)(本宮御料のうち)

江戸時代・17世紀 春日大社 展示期間:2/14(火)~3/12(日)

金、銀、銅の研出蒔絵(とぎだしまきえ)による流水文や飛び交う鳥や蝶。技術を凝らし、王朝意匠の粋を今に伝える平安時代漆芸品の最高傑作。


国宝 平胡簶(若宮御料のうち)

国宝

平胡簶(ひらやなぐい)(若宮御料のうち)

平安時代・12世紀 春日大社 展示期間:1/17(火)~2/12(日)

平胡簶とは矢を差し、携帯する用具。背板両面には螺鈿などを用い尾長鳥や宝相華文が表わされる。左大臣となった藤原頼長(ふじわらのよりなが)所用品。


国宝 金地螺鈿毛抜形太刀

国宝

金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでんけぬきがたたち)

平安時代・12世紀 春日大社 展示期間:1/17(火)~2/19(日)

(つか)(つば)などの多くの金具は金無垢に文様を彫り出し、(さや)は金粉を蒔き、螺鈿で雀を追う竹林の猫を表現する。まばゆく輝く黄金の太刀。


第3章 春日信仰をめぐる美的世界

草創以降、貴族をはじめとする多くの人々が春日の地に参詣し、祈りを捧げてきました。また、神と仏が一体であるとする神仏習合の思想を背景に、仏法を守護する春日の神々への信仰も広がりをみせていきます。本章では、春日の神々への祈りを表わした選りすぐりの名品を展示します。

重要文化財 文殊菩薩騎獅像および侍者立像

重要文化財

文殊菩薩騎獅像(もんじゅぼさつきしぞう)および侍者立像(じしゃりゅうぞう)

康円(こうえん)作 鎌倉時代・文永10年(1273) 東京国立博物館 通期展示

春日大社の祭神のうち、若宮は文殊菩薩と同体と考えられていた。神と仏の一体化を象徴する作例で、興福寺(こうふくじ)に伝来した。


春日宮曼荼羅

春日宮曼荼羅(かすがみやまんだら)

鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館 展示期間:1/17(火)~2/12(日)

春日大社の社殿を中心に、画面上部に御蓋山(みかさやま)春日山(かすがやま)若草山(わかくさやま)を配す。聖地・春日野(かすがの)を一望にする礼拝画の大作。


春日権現験記絵(春日本)

春日権現験記絵(かすがごんげんげんきえ)春日本(かすがぼん)

巻十二(部分) 江戸時代・文化4年(1807) 春日大社 通期展示(場面替有)

春日の神々の霊験を描く全二十巻の絵巻。春日本は松平定信(まつだいらさだのぶ)の指示で制作された。鹿に囲まれる牛車には春日三宮(かすがさんのみや)が化身した地蔵菩薩の姿が。


第4章 奉納された武具

春日大社には多くの武具が奉納されています。こうした奉納品が伝わったのも、春日大社が公家・武家をはじめ多くの人々の深い祈りに支えられてきたことを物語っています。本章では、春日大社に伝わる国宝の甲冑や刀剣などを一堂にご覧いただきます。

国宝 赤糸威大鎧(梅鶯飾)

国宝

赤糸威大鎧(あかいとおどしおおよろい)梅鶯飾(うめうぐいすかざり)

鎌倉時代・13世紀 春日大社 展示期間:1/17(火)~2/19(日)

梅や鶯などを透彫にした金物の華やかさが、兜や胴の力強さと見事に融合した日本甲冑の傑作。

国宝 赤糸威大鎧(竹虎雀飾)

国宝

赤糸威大鎧(あかいとおどしおおよろい)竹虎雀飾(たけとらすずめかざり)

鎌倉~南北朝時代・13~14世紀 春日大社 展示期間:2/14(火)~3/12(日)

鮮烈な赤の威毛と、細かい彫金技術をみせる鍍金の金物が目にもまばゆい華やかさをみせている。


国宝 沃懸地酢漿紋兵庫鎖太刀

国宝

沃懸地酢漿紋兵庫鎖太刀(いかけじかたばみもんひょうごぐさりたち)

鎌倉時代・13世紀 春日大社 展示期間:2/14(火)~3/12(日)

鞘と兵庫鎖の部分に酢漿紋を施す、力強くも優美な刀剣。昭和5年(1930)に本殿より撤下された一振。


第5章 神々に捧げる芸能

春日大社では数多くの神事、祭事が執り行われていますが、その中でも12月に行われる若宮おん祭は国の重要無形民俗文化財に指定されています。本章では、こうした祭礼の際に神前に奉納された舞楽や能など、芸能に関わる作品をご紹介します。

舞楽面 納曽利

重要文化財

舞楽面 納曽利(なそり)

平安時代・12世紀 春日大社 通期展示

納曽利は龍が舞い遊ぶ様を表わしたとされる舞。舞楽面は平安時代にさかのぼる作で、大きく見開いた眼や顎を別材で作り、舞の動きに合わせて表情に変化が出る仕組み。

納曽利装束のうち裲襠・袴

納曽利(なそり)装束のうち裲襠(りょうとう)(はかま)

江戸時代・17世紀 春日大社 展示期間:1/17(火)~2/12(日)


第6章 春日大社の式年造替

春日大社では社殿の建て替えや修繕が約20年に一度行われ、平成28年(2016)に迎える式年造替は60回目を数えます。本章では、式年造替に関わる記録とともに、今回の式年造替で撤下され注目を浴びた獅子・狛犬などをご覧いただきます。


  • *撤下…神に奉られていた道具類が役目を終え、神殿から下ろされること。
獅子・狛犬

獅子(しし)狛犬(こまいぬ)

鎌倉時代・13世紀 春日大社 通期展示

本殿を護っていた獅子・狛犬で、今回の式年造替で撤下された。四対八軀のうち六軀は鎌倉時代の制作と考えられる。


御間塀のうち唐鞍神馬図

御間塀(おあいべい)のうち唐鞍神馬図(からくらしんめず)

昭和50年(1975) 春日大社 通期展示

四つの本殿の間にある御間塀に描かれた壁画で、絵馬の源流とも言われる。昭和50年、58回目の式年造替の際に新調されたもの。